2020年10月17日土曜日

チゼルチェーン(角刃) ソーチェンの目立て方法、"スクエアファイリング" について

チゼルチェーンってなに?


チェンソーのソーチェンのカッター、刃の部分の上刃と横刃のジョイントのコーナー部分 (ワーキングコーナー/カッティングコーナーと呼ばれる) がほぼ90°で鋭いもの。フルチゼルともいう。

他に、チャンファーチゼル(面取りしたチゼル)、セミチゼル、マイクロチゼル、チッパーなどがある。2018年判 Oregon Chain のカタログに各社の分類一覧がある。

次の Oregon chain の英語の資料の "Cutter Type" の項目を見てほしい。

https://www.oregonproducts.com/en/product-support/chainsaw/saw-chain-terminology/c/saw-chain-terminology-s

上記ドキュメント、Saw Chain Identification の Cutter Type の図の5、これがフルチゼル(チゼル刃、角刃)である。

 

チゼル刃の目立て-Square Ground Filing-スクェア グランド ファイリング


一般的にチェンソーの刃を目立てするには丸棒やすりを使う。丸やすりでの目立て方法については、STIHLのドキュメント(PDF)が詳しい。

 https://static.stihl.com/security_data_sheet/downloads/Sharpening-STIHL-Saw-Chains-jp.pdf

 

あるいは、オレゴンにも目立て方法のドキュメントが用意されている。

 https://www.oregonchain.jp/metate/index.php?page=methods

 

フルチゼルチェーンも丸やすりで研げる(十分によく切れる)のだが、フルチゼルのワーキングコーナーがうまく作れず、100%の能力を発揮できない。

そのため、スリーコーナー(Three Corner)/スリースクエア(Three Square)/ヘキサゴン(Hexagon)、シングルベベル(Single Bevel)、ダブルベベル(Double Bevel)、グーフィー(Goofy)などといったヤスリを使ってちょっと特殊な "Square Ground Filing"(スクェアグランドファイリング)と呼ばれる目立てを行う。

Oregon Chain の次の資料(英語)中程の Learn More About Square-Ground Filing の項目を参照してほしい。 

https://www.oregonproducts.com/en/product-support/chainsaw/sharpening-chainsaw-chain-/c/sharpening-chainsaw-chain-s

なお、スクェアグランドファイリングだけでは、横刃下部のガレット(Gullet)と呼ばれる部分に余分な研ぎ残しができてしまうので、別途丸棒ヤスリなどで除去する必要がある。先の Oregon Chain の英語資料の "Gullet Filing" の項目を参照。

文章やイラストではイメージが難しいので YouTube の Stihl fan Suisse
(https://www.youtube.com/channel/UCIB1zBhaasRcxqcB491hhaA)の次の動画を
参照して欲しい。



https://www.youtube.com/watch?v=gjR1km8LnDU

ポイントは、上刃目立て角は 20°~30°で、ワーキングコーナーの外側と内側の角から角(corner to corner)を直線で結ぶように研ぐこと、横刃目立て角が80°~90°程度になること、である。このとき、カッター以外のタイストラップやドライブリングにヤスリがあたって削れてしまうのだがこれはやむを得ない。

 但し、大きい刃の3/8ピッチや.325ピッチのソーチェンなら研ぎやすいのだが、小さな刃の 3/8p、3/8lp、1/4ピッチのソーチェン だとワーキングコーナーの外には合わせられても内側にうまくやすりが入らないので理想よりも内側は若干ずれる。

やすりを動かしてみてソーチェン裏側から角度を確認、必要なら角度を修正。これを繰り返す。

一番小さい、あるいは、ダメージの大きい刃をマークし、そこからスタートしてすべてのカッターがほぼ同じ大きさになるように目立てを行う。

デプスゲージは通常の丸やすりでの目立て同様、適切に調整する。


通常、一般的な丸棒ヤスリによる目立てと異なり、3次元の角度維持が必要になるので、なれるまではうまく研げないかもしれない。

 

うまく研げるとすんなり柔らかく切れる。

 

インターネット上(特に日本語の情報)にはよくない例を推奨している動画やブログが散見されるのでこれを書いた。


なお、参照しているサイトや動画情報は私のものではなく、削除、変更されることがあるがご容赦頂きたい。



;; Created: Sat, Oct 17 15:47:18 JST 2020 

;; Last modified: Sun, Mar 27 09:56:50 JST 2022

 

修正履歴: 2022-03-27 : 新しく得た知見に基づき目立て角度の記述を修正。用語、用法の記述を修正、加筆。Oregon のサイトが整理されて一部リンク切れになっていたものを修正。

2020年4月13日月曜日

a few face shields for chainsaw works or mowing



Petzl などのヘルメットのサイドスロットに取り付け可能なフェイスシールドについて

ここで紹介している 3M Peltor のと異なった取り付け方法のヘルメット、Kask などがあるので注意が必要。ご自分のヘルメットに Peltor がつくかどうかは確認されたし。

サイドスロット付きのヘルメットにフェイスシールド、バイザーの取り付けには、3M Peltor のイヤマフに付属するスロットアタッチメント(P3EV/2など)が必要。既にヘルメットに Peltor のイヤマフがついているならそのアダプターへ取り付けする。
こういうやつね。




3M Peltor V4C  

伐採やチェンソー作業の時は快適。マットステンレスメッシュの目が粗めで通気性が良い。そのかわりに細かい粉じんは通してしまう。
  
 ステンレスメッシュ マットフィニッシュ
 メッシュピッチ: おおよそ Φ0.24 1.8mm x 2.5mm
   減光: 25%
 重量: 80g

 購入可能な店舗の一例: 生川商店 - http://www.narukawa-shop.com
 FreeWorker - https://shop.freeworker.com/drahtgitter-visier-peltor.html
etc.

3M Peltor V4B

草刈り機を使った作業の時には V4C では目が荒すぎて役に立たないのでより目の細かい V4B を使う。

  ポリアミド製
 メッシュピッチ:  Φ0.3mm 1.0mm x 1.0mm
  減光: 45%
 重量: 70g

 購入可能な店舗一例: FreeWorker -  https://shop.freeworker.com/nylon-visier-peltor.html


3M Peltor V4J SV

 ステンレスメッシュ, エッチング, マットフィニッシュ。ちょっと高額だが伐採、チェンソー作業に良さそう.. 次はこれを購入してみたい。
 メッシュピッチ: (現時点では不明)
 厚さ: 0.15mm(0.3mm表記のところもあり..)
 減光: 18%-40% 
 重量: 80g

 購入可能な店舗一例: FreeWorker -  https://shop.freeworker.com/aetzmetall-visier-peltor.html

 

3M Peltor V4A

スチールメッシュ マットフィニッシュ
 メッシュピッチ: Φ0.3mm 1.8mm x 1.8mm
 減光: 35%
 重量: 90g

 

3M Peltor V4F

ポリカーボネート製クリアシールド
 厚さ: 1mm
 重量: 110g


藤原産業 セフティー3 KB-13用 替メッシュ w/ Peltor visor

  セフティー3 KB-13 用の替えメッシュを Peltor のバイザーへ加工取り付け。少し厚さがあってペルターのバイザーの正面固定部に差し込めないのでそこだけカッターナイフで切削する必要あり。穴の位置は合う。V4B同様、草刈りの時に使用。目が細かいので息がこもりちょっと蒸れて暑い。草などの飛散物が付着して視界が悪くなるので定期的に洗浄が必要。

 PP = ポリプロピレン
 メッシュピッチ: おおよそ 1.0mm x 1.0mm



藤原産業 セフティー3 KB-16用 替メッシュロング

  長いため首、胸上部の保護に役立つ。欠点は左右に首を振ると干渉して脱げそうになる、実質、シールドを上げないと首を振っての安全確認は無理。ピッチなどは上記 KB-13と同じ。


 藤原産業 セフティー3 KB-17用 クリアシールド

岩石やコンクリートのはつりなどにはクリアシールドを使用。曇りや傷、泥水の飛散による汚れなどの問題がある。

2020年3月8日日曜日

Bowline knot - もやい結び は、意図せず解けてしまうことがある

Figure 8 (フィギュアエイト, 8の字結び)とともに、loop - 輪 の大きさが固定できて、強い力がかかっても解きやすい紐やロープの結び方のひとつ、Bowline knot (ボウラインノット, ボーリンノット)、もやい結びは、最後のドレス(仕上げ成形)がうまくなかったり、何かに当たる、干渉してしまったり、あるいは力のかかる向きによっては結びが変化して絞れてしまったり、なんども繰り返し振動のような力がかかると、ゆるんでしまったり、最悪の場合、解けてしまう => 事故が起こってしまう ことがある。


WhyKnot 氏が投稿された YouTube の動画を見て確認してほしい。


ではどうすればよいのか?


対策1: Bowline with Yosemite Finish - ボウライン with ヨセミテフィニッシュ,  Yosemite Bowline - ヨセミテボウライン


 先の動画で解決策としてでてきたボウライン with ヨセミテフィニッシュ、ヨセミテボウラインという結び方を使う


対策2: Double Bowline - ダブルボウライン (2重もやい)


同じく WhyKnot 氏のYouTubeへの投稿から

Bowline knot - もやい結びのループをひとつ追加した結び方。


 対策3: Double Bowline + Stopper - ダブルボウライン + ストッパー


さらに万一の時に安全を担保するためにストッパーノットを追加する方法。

WheeliePete 氏のYouTubeへの投稿から



Figure 8 - フィギュアエイト - 8の字結びはダメなの?

 

安全なのはフィギュアエイトだ。意図せず解けてしまう心配はない。しかし、ロープにもよるが強い力で引かれた時、フィギュアエイトは固くしまってしまい解くことが困難になる。


最後にもう一度.. "Bowline Knot ボウラインノット - もやい結び は、意図せず解けてしまうことがある" 。

皆様、どうぞご安全に👍