2021年7月11日日曜日

安全靴のヨーロッパ規格 EN 20345 (PPE Safety Footwear), EN ISO 17249:2013 (Cut Protection/カットプロテクション)

 




WiseWorkSafe (https://www.wiseworksafe.com/blog/view/understanding-en-iso-20345-safety-footwear-formerly-en345-) より抜粋、意訳

 EN 20345 (PPE Safety Footwear)

  • つま先防護 (200 Joules toe cap) -> SB 
  • +帯電防止 -> S1, S1P 
  • +防水性 -> S2 
  • +踏み抜き防護 -> S3  

 先芯、防水、踏み抜き防護の安全靴なら S3、踏み抜き防護なしでも良いなら S2

 但し、規格通すのが難しいのか、もっと上位の規格通ってそうでも SB + 追加評価 とかで止めてる靴がたくさんある。 逆に S3 でもちょっとあれっ?という靴も.. 注意が必要ですね..

 

EN ISO 20345 Additional Ratings Explained

 EN ISO 20345 の追加評価の説明

 

C - Conductive / 導電性
A - Antistatic / 帯電防止
I - Insulation against electricity / 電気的絶縁性(?)
HI - Insulation against heat / 耐熱性
CI - Insulation against cold / 耐寒性
E - Energy absorbing seat region / 底構造のエネルギー吸収性
AN - Ankle protection / くるぶし保護
HRO - Heat resistant outsole / 靴底の耐熱性
WR - Water resistant / 耐水性
WRU - Water resistant upper / 上部の耐水性
M - Metatarsal protection  / 中足骨防護
CR - Cut resistant upper / 上部の耐切創性
 

 


 

 EN ISO 17249:2013 (Cut Protection/カットプロテクション) 

チェンソーのソーチェンスピードによる分類

(Class は Level と表記されることもあり)

  • Class1 : 20m/s
  • Class2 : 24m/s
  • Class3 : 28m/s

2020年10月17日土曜日

チゼルチェーン(角刃) ソーチェンの目立て方法、"スクエアファイリング" について

チゼルチェーンってなに?


チェンソーのソーチェンのカッター、刃の部分の上刃と横刃のジョイントのコーナー部分 (ワーキングコーナー/カッティングコーナーと呼ばれる) がほぼ90°で鋭いもの。フルチゼルともいう。

他に、チャンファーチゼル(面取りしたチゼル)、セミチゼル、マイクロチゼル、チッパーなどがある。2018年判 Oregon Chain のカタログに各社の分類一覧がある。

次の Oregon chain の英語の資料の "Cutter Type" の項目を見てほしい。

https://www.oregonproducts.com/en/product-support/chainsaw/saw-chain-terminology/c/saw-chain-terminology-s

上記ドキュメント、Saw Chain Identification の Cutter Type の図の5、これがフルチゼル(チゼル刃、角刃)である。

 

チゼル刃の目立て-Square Ground Filing-スクェア グランド ファイリング


一般的にチェンソーの刃を目立てするには丸棒やすりを使う。丸やすりでの目立て方法については、STIHLのドキュメント(PDF)が詳しい。

 https://www.stihl.com/content/dam/stihl/vu/ic/en/download-files/pdf-files/sharpening-brochures/JP-Sharpening-STIHL-Saw-Chains-jp.pdf

 あるいは、秋田県林業普及冊子 No.29 よく切れる組ーチェーンを目指して -永戸式目立て- も参考になる。

 フルチゼルチェーンも丸やすりで研げる(十分によく切れる)のだが、フルチゼルのワーキングコーナーがうまく作れず、100%の能力を発揮できない。

そのため、スリーコーナー(Three Corner)/スリースクエア(Three Square)/ヘキサゴン(Hexagon)、シングルベベル(Single Bevel)、ダブルベベル(Double Bevel)、グーフィー(Goofy)などといったヤスリを使ってちょっと特殊な "Square Ground Filing"(スクェアグランドファイリング)と呼ばれる目立てを行う。

Oregon Chain の次の資料(英語)中程の Learn More About Square-Ground Filing の項目を参照してほしい。 

https://www.oregonproducts.com/en/product-support/chainsaw/sharpening-chainsaw-chain-/c/sharpening-chainsaw-chain-s

なお、スクェアグランドファイリングだけでは、横刃下部のガレット(Gullet)と呼ばれる部分に余分な研ぎ残しができてしまうので、別途丸棒ヤスリなどで除去する必要がある。先の Oregon Chain の英語資料の "Gullet Filing" の項目を参照。

文章やイラストではイメージが難しいので YouTube の Stihl fan Suisse 氏
(https://www.youtube.com/channel/UCIB1zBhaasRcxqcB491hhaA)の次の動画を
参照して欲しい。



https://www.youtube.com/watch?v=gjR1km8LnDU

ポイントは、上刃目立て角は 20°~30°で、ワーキングコーナーの外側と内側の角から角(corner to corner)を直線で結ぶように研ぐこと、横刃目立て角が85°~90°程度になること、である。このとき、カッター以外のタイストラップやドライブリングにヤスリがあたって削れてしまうのだがこれはある程度はやむを得ない。カッターの背の高さが高い(丸やすり5.2〜5.5mm指定)場合はダメージは少なくなるが、丸やすり 4.8mm 指定、4.0mm 指定の場合は、ソーチェンが破断しないようダメージを小さくする工夫が必要になる。

 大きい刃の .404 や 3/8ピッチのソーチェンなら研ぎやすいのだが、小さな刃の .325, 3/8p、3/8lp、1/4ピッチのソーチェン だとワーキングコーナーの外には合わせられても内側にうまくやすりが入らないので理想よりも内側は若干ずれる。

やすりを動かしてみてソーチェン裏側から角度を確認、必要なら角度を修正。これを繰り返す。

一番小さい、あるいは、ダメージの大きい刃をマークし、そこからスタートしてすべてのカッターがほぼ同じ大きさになるように目立てを行う。

デプスゲージは通常の丸やすりでの目立て同様、適切に調整する。


通常、一般的な丸棒ヤスリによる目立てと異なり、3次元の角度維持が必要になるので、なれるまではうまく研げないかもしれない。カッターの外側の角とやすりの角を正確に合わせるのが重要なポイント。

 

うまく研げるとすんなり柔らかく切れる。

 

インターネット上(特に日本語の情報)にはよくない例を推奨している動画やブログが散見されるのでこれを書いた。


なお、参照しているサイトや動画情報は私のものではなく、削除、変更されることがあるがご容赦頂きたい。

 別サイトにスクエアグラウンドファイリングについてまとめてみたので、よろしければそちらもご参照ください。



;; Created: Sat, Oct 17 15:47:18 JST 2020 

;; Last modified: Sun, Nov 30 11:38:04 JST 2025

 

修正履歴: 2022-03-27 : 新しく得た知見に基づき目立て角度の記述を修正。用語、用法の記述を修正、加筆。Oregon のサイトが整理されて一部リンク切れになっていたものを修正。

2025-11-30 : 一部修正加筆。

2020年4月13日月曜日

a few face shields for chainsaw works or mowing



Petzl などのヘルメットのサイドスロットに取り付け可能なフェイスシールドについて

ここで紹介している 3M Peltor のと異なった取り付け方法のヘルメット、Kask などがあるので注意が必要。ご自分のヘルメットに Peltor がつくかどうかは確認されたし。

サイドスロット付きのヘルメットにフェイスシールド、バイザーの取り付けには、3M Peltor のイヤマフに付属するスロットアタッチメント(P3EV/2など)が必要。既にヘルメットに Peltor のイヤマフがついているならそのアダプターへ取り付けする。
こういうやつね。




3M Peltor V4C  

伐採やチェンソー作業の時は快適。マットステンレスメッシュの目が粗めで通気性が良い。そのかわりに細かい粉じんは通してしまう。
  
 ステンレスメッシュ マットフィニッシュ
 メッシュピッチ: おおよそ Φ0.24 1.8mm x 2.5mm
   減光: 25%
 重量: 80g

 購入可能な店舗の一例: 生川商店 - http://www.narukawa-shop.com
 FreeWorker - https://shop.freeworker.com/drahtgitter-visier-peltor.html
etc.

3M Peltor V4B

草刈り機を使った作業の時には V4C では目が荒すぎて役に立たないのでより目の細かい V4B を使う。

  ポリアミド製
 メッシュピッチ:  Φ0.3mm 1.0mm x 1.0mm
  減光: 45%
 重量: 70g

 購入可能な店舗一例: FreeWorker -  https://shop.freeworker.com/nylon-visier-peltor.html


3M Peltor V4J SV

 ステンレスメッシュ, エッチング, マットフィニッシュ。ちょっと高額だが伐採、チェンソー作業に良さそう.. 次はこれを購入してみたい。
 メッシュピッチ: (現時点では不明)
 厚さ: 0.15mm(0.3mm表記のところもあり..)
 減光: 18%-40% 
 重量: 80g

 購入可能な店舗一例: FreeWorker -  https://shop.freeworker.com/aetzmetall-visier-peltor.html

 

3M Peltor V4A

スチールメッシュ マットフィニッシュ
 メッシュピッチ: Φ0.3mm 1.8mm x 1.8mm
 減光: 35%
 重量: 90g

 

3M Peltor V4F

ポリカーボネート製クリアシールド
 厚さ: 1mm
 重量: 110g


藤原産業 セフティー3 KB-13用 替メッシュ w/ Peltor visor

  セフティー3 KB-13 用の替えメッシュを Peltor のバイザーへ加工取り付け。少し厚さがあってペルターのバイザーの正面固定部に差し込めないのでそこだけカッターナイフで切削する必要あり。穴の位置は合う。V4B同様、草刈りの時に使用。目が細かいので息がこもりちょっと蒸れて暑い。草などの飛散物が付着して視界が悪くなるので定期的に洗浄が必要。

 PP = ポリプロピレン
 メッシュピッチ: おおよそ 1.0mm x 1.0mm



藤原産業 セフティー3 KB-16用 替メッシュロング

  長いため首、胸上部の保護に役立つ。欠点は左右に首を振ると干渉して脱げそうになる、実質、シールドを上げないと首を振っての安全確認は無理。ピッチなどは上記 KB-13と同じ。


 藤原産業 セフティー3 KB-17用 クリアシールド

岩石やコンクリートのはつりなどにはクリアシールドを使用。曇りや傷、泥水の飛散による汚れなどの問題がある。

2020年3月8日日曜日

Bowline knot - もやい結び は、意図せず解けてしまうことがある

Figure 8 (フィギュアエイト, 8の字結び)とともに、loop - 輪 の大きさが固定できて、強い力がかかっても解きやすい紐やロープの結び方のひとつ、Bowline knot (ボウラインノット, ボーリンノット)、もやい結びは、最後のドレス(仕上げ成形)がうまくなかったり、何かに当たる、干渉してしまったり、あるいは力のかかる向きによっては結びが変化して絞れてしまったり、なんども繰り返し振動のような力がかかると、ゆるんでしまったり、最悪の場合、解けてしまう => 事故が起こってしまう ことがある。


WhyKnot 氏が投稿された YouTube の動画を見て確認してほしい。


ではどうすればよいのか?


対策1: Bowline with Yosemite Finish - ボウライン with ヨセミテフィニッシュ,  Yosemite Bowline - ヨセミテボウライン


 先の動画で解決策としてでてきたボウライン with ヨセミテフィニッシュ、ヨセミテボウラインという結び方を使う


対策2: Double Bowline - ダブルボウライン (2重もやい)


同じく WhyKnot 氏のYouTubeへの投稿から

Bowline knot - もやい結びのループをひとつ追加した結び方。


 対策3: Double Bowline + Stopper - ダブルボウライン + ストッパー


さらに万一の時に安全を担保するためにストッパーノットを追加する方法。

WheeliePete 氏のYouTubeへの投稿から



Figure 8 - フィギュアエイト - 8の字結びはダメなの?

 

安全なのはフィギュアエイトだ。意図せず解けてしまう心配はない。しかし、ロープにもよるが強い力で引かれた時、フィギュアエイトは固くしまってしまい解くことが困難になる。


最後にもう一度.. "Bowline Knot ボウラインノット - もやい結び は、意図せず解けてしまうことがある" 。

皆様、どうぞご安全に👍

2019年3月31日日曜日

STIHL M-Tronic carburator correction

for MS 201 TC-M, MS 261 C-M... (Not for MS 462 C-M...)

Why I wrote this..

当方の作業環境、標高 1,200m-1,600m あたりの高冷地。気温は冬季の最低気温が -20℃程度、夏期の最高気温+30℃未満。桜の開花は4月末~5月初頃。

2018年頃に購入した MS 201 TC-M、(M-Tronic version 1 ?)しばらく使用し、エンジン暖まってから休憩して少し冷えた状態になると始動ポジション(△)にしても運転ポジション(I)にしてもなかなかかからず再始動に苦戦する。最終的に右手でフルスロットルにして左手でスターターをかなりの回数引きつづけないとかからなくなる。

また、しばらく連続使用し、完全に暖まった状態のアイドリングで不意にエンジン停止することがある。

Low, High, Idle それぞれスクリューで 調整できる旧タイプのチェンソーでは手動で微調整することでこういう機嫌の悪い状態になるのを避けられるのだが、M-Tronic はそこをうまく学習してもらわないといけない。

取扱い説明書には、暖機後、完全負荷で5回連続で鋸断しろという記述があるがこれでは改善せず。最終的に、r3dpuma氏により2018-02-24に公開された MS 261 C-M 向けの以下の YouTube 動画を参照した。
https://www.youtube.com/watch?v=JtUkBqBkB-E

なぜこれが MS 201 TC-M にも使えるのか、というと、同時期の開発、初期設定の方法が他のところで紹介されていたのと同じ、高回転部分の設定方法(全負荷5回の切断)が同じ、取扱説明書の該当部分が同じ、などにより同等と判断した。

ここで紹介されている方法は、MS 462 C-M (M-Tronic version 3)など、異なる方法でより短時間(72秒)で更正できる新しい機械(取扱い説明書に更正方法の記載あり)には当てはまらないと思われるので注意されたし。当方の環境であっても取扱い説明書どおりに更正した MS 462 C-M はとっても機嫌良いです。

以下は動画の説明に書かれている内容を訳したものである。


 To set factory default..(工場出荷状態にリセット)

チェンブレーキをかける。
  1. トリガー、スロットルを握り、スイッチを始動ポジション(△)にセットする。
  2. スターターを引きエンジンを始動する。
  3. スロットルやスイッチには触れず、始動ポジション(△)のまま90秒間保持する。
  4. 90秒経過したらスロットルを開けてスイッチを運転ポジション(I)に移動させる。
  5. ただちにスイッチを停止ポジション(0)に動かしエンジンを停止する。

To set Low range

チェンブレーキをかける。
  1. トリガー、スロットルを握り、スイッチを始動ポジション(△)にセットする。
  2. スターターを引きエンジンを始動する。
  3. スロットルを開けて、スイッチを運転ポジション(I)に移動させる。
  4. そのままスロットルやスイッチを操作せずにアイドリング状態を90秒間保持する。
  5. 90秒経過したら、ただちにスイッチを停止ポジション(0)に動かしエンジンを停止する。

To set High range

チェンブレーキをかける。
  1. トリガー、スロットルを握り、スイッチを始動ポジション(△)にセットする。
  2. スターターを引きエンジンを始動する。
  3. スロットルを開けて、スイッチを運転ポジション(I)に移動させる。
  4. チェンブレーキを解除する。
  5. フルスロットルで15-20cm程度の木を連続5カットする。(オリジナルでは MS 261 C-M 用として 30cm程度と書かれているが MS 201TC-M ではバーにもよるが30cmだとちょっとつらいので.. 全負荷とのことなので、ほぼバー長いっぱい程度、フルスロットルでの鋸断で)

2016年9月29日木曜日

How to encode to m4a on Debian Jessie

車で音楽を聞くのに CD などから m4a を生成して USB メモリへ移している。車につけてる Pioneer のヘッドユニット DVH-P540 というは音楽ファイルとしては wma, mp3 もしくは aac (m4a) しか受け入れてくれなくて、wma を使う理由はない(windows持ってない)し、mp3 は音質的に許せないので m4a にしている。

今までは non-free の neroAacEnc というのを利用させてもらっていたのだが、手元が 64bit only な環境 (multiarch めんどくさくなってやめちゃった) ので neroAacEnc が動かなくなったのと、どうも本家でも公開止めたみたいなので、どうするかしばらく試行錯誤していた..

faac, ffmpeg やら libav-tools 試してみたけど、うまく m4a が作れなくて、試行錯誤の結果、次の方法を見つけた。

wav -> aac

まず cd などから音源を wav で取り出しておく。(この過程は割愛.. 個人的には jack コマンドで..)

aac に変換するには aac-enc コマンドを利用する。この aac-enc というのは


$ apt-cache show aac-enc
Package: aac-enc
Source: fdk-aac
Version: 0.1.3+20140816-2
Installed-Size: 705
Maintainer: Debian Multimedia Maintainers <pkg-multimedia-maintainers@lists.alioth.debian.org>
Architecture: amd64
Depends: libfdk-aac0 (= 0.1.3+20140816-2), libc6 (>= 2.4)
Description-en: Fraunhofer FDK AAC Codec Library - frontend binary
 The FDK AAC Codec Library For Android contains an encoder implementation
 of the Advanced Audio Coding (AAC) audio codec.
[...]
 Homepage: https://github.com/mstorsjo/fdk-aac
Section: non-free/sound
と言うもので、Android などで利用されるものを移植したもののようで高音質での aac 化が可能なようだ。

Section: non-free/sound なので、/etc/apt/sources.list で non-free セクションを明示的に許可してないと見つからないはず。

$ aac-enc -r 320000 examplemusic.wav examplemusic.aac

のように -r 320000 でビットレートを指定(車の DVH-P540の限界が 320k あるので)して aac へ変換する。

aac -> m4a

MP4Box というコマンドを利用する。これは gpac というパッケージに含まれている。section: graphics なので、キーワードがうまくハマらないと見つけにくいかもしれない。

$ MP4Box -add examplemusic.aac examplemusic.m4a -new

これで m4a ファイルが出来上がる。

2015年7月9日木曜日

IPv6 TempAddr - jessie - kde - network-manager

手元に Win7pro のインストールされたノートブック Toshiba R730 が、お下がりでやってきたので Debian jessie をインストールしてみた。

先日、d-u.jp で、IPv6 の tempaddr について話があったのでちょっと確認してみた。

今までの手元のマシン4台はサーバー系用途のために IPv6 も固定で設定してあり、network-manager も使っていなかったため検証不能だった(後日 2015-08-23 検証してみた)ので..

なお、kernel レベルでの制御は sysctl (/etc/sysctl.conf, /etc/sysctl.d/*.conf, sysctl(8)コマンド) で可能であり、GUI ツールからの設定も最終的にはここの net.ipv6.conf.IFname.use_tempaddr の値を設定する。

Gnome は好みでないのと、Win7pro を残しデュアルブートにしたため、残り半分のディスクスペースしかなく、Gnome導入する余裕がなかったので KDE 環境のみで検証した。

おそらく、Gnome 環境でもほぼ同様に設定、利用できると思う。(未確認)

 

network-manager

KDE環境では network-manager (nm) はタスクバーに表示されるアイコン(あるいは追加ウィジェット)からアクセスするようになっている。(デフォルトではタスクバーは画面下に横たわっている..)


ここでは wireless 環境なので wifi アイコンになってる。wired 環境だと RJ-45コネクタのアイコンになったと思う。

初期では MAC から生成された EUI-64 な IPv6 アドレスが使われる設定になっていたので、これを変更してみる。

タスクバーの電波アイコン(1.)をクリックすると network-manager によるネットワークの概要が表示され、さらにその右上のスパナアイコン(2.)をクリックすると次のスクリーンショットのような Connection editor というタイトルのウィンドウが表示される。


ここで、1. 目的のネットワークを選択し、2. 編集をクリック すると、さらに次の Edit Connection [connection name] の画面が表示される。


この画面のタブの中から右端にある IPv6 のタブを選択すると、Privacy という項目があり、プルダウンタブをクリックすると Enabled (prefer temporary address) という選択肢が現れるので、これを選択する。

タスクバーのアイコンから一度コネクションを 切断(disconnect)-> 接続(connect) すると、次のスクリーンショットのように ip addr コマンドの出力には、 wlan0 の IPv6 アドレス (inet6 で始まる行) が3つ現れる。(ここでは無線LAN環境なので wlan0 になってる)


一番下のアドレス先頭が fe80 で始まるものは scope link であり、いわゆる link-local と呼ばれるもので、グローバルに使用されるものではない。

残りの2つの上の方、(末尾が :f39e/64 の方)は、scope global temporary となっており、これが 上の設定によって追加された temporary address である。

もう一つは MAC を元にした EUI-64 なアドレス(mngtmpaddrの方)である。

IPv6 は1つのインターフェイスに複数割りあてられるのでこういう状態でも両方のアドレスで通信は可能である。



モバイル機器やクライアント機においては、固定アドレス、EUI-64 なアドレスでは、個人が特定されプライバシーが侵害されるおそれがあるので、IPv6 tempaddr (temporary address) の利用が推奨される。

あちこちのネットワークを渡り歩くような機器の場合は tempaddr を使うように設定しておこう。

sysctl - 後日の検証

上記のように NetworkManager から wlan0 に対して tempaddr を利用するように設定した場合、
sysctl -a | grep "tempaddr"
の結果は、 
net.ipv6.conf.wlan0.use_tempaddr = 2 
のように "2" がセットされている。 

この値については、kernel 付属のドキュメントの networking/ip-sysctl.txt.gz (jessie の標準では linux-doc-3.16) につぎのような記述がある。


use_tempaddr - INTEGER
   Preference for Privacy Extensions (RFC3041).         
   <= 0 : disable Privacy Extensions
   == 1 : enable Privacy Extensions, but prefer
          public addresses over temporary addresses.
   >  1 : enable Privacy Extensions and prefer
          temporary addresses over public addresses.
  
Default:  0 (for most devices)                
         -1 (for point-to-point devices and loopback
             devices)

訳すと..


use_tempaddr (一時アドレスを使用)  整数値
       プライバシー拡張(RFC3041)の設定 
                      <= 0 (0以下) : プライバシー拡張 無効
                      == 1 (1)    : プライバシー拡張 有効、ただし
                                    一時アドレスよりパブリックアドレスを
                                    優先
                      >  1 (1より大) : プライバシー拡張 有効、
                                      パブリックアドレスより一時アドレス
                                      を優先使用する
       デフォルト  : 0 (ほとんどのデバイス用途)
               -1 (point-to-point デバイスと
                           ループバックデバイス用途)

となる。

  • tempaddr : 一時アドレス。ブートごとにカーネルにより自動生成されるランダムな IPv6 アドレス

  • public address : 管理者により設定された固定 IPv6 アドレスか、それがない場合はには、EUI-64 という方式によりネットワークインターフェイスの MAC アドレスより自動的に算出される固定 IPv6 アドレス。

なお、文中では RFC3041 と書かれているが、これはすでに古くなっており現時点(2015-08-23)では、より新しい RFC4941 によって置き換えられている。

ちょっと事情があり、jessie 環境をクリーンインストールしたデスクトップ機でも検証してみた。こちらは wireless 環境がないため、インターフェイスは eth0 になる。

また、固定 IPv6 を利用するにあたって network-manager や avahi-daemon をアンインストールし、インターフェイスのブリングアップを従来の ifupdown から systemd の systemd-networkd を利用する方式に変更してある。

クリーンインストール直後は net.ipv6.conf.eth0.use_tempaddr = 2 の状態であったが、network-manager の削除により、net.ipv6.conf.eth0.use_tempaddr は "0" に変化した。

これを /etc/sysctl.d/use_tempaddr.conf ファイルを作成し、次のように記述、net.ipv6.conf.eth0.use_tempaddr=1
再起動すると、eth0 に tempaddr が割り振られた。

しかし、ssh やブラウザで確認すると、tempaddr では接続していないことが確認された。

さらに、net.ipv6.conf.eth0.use_tempaddr=2 として再起動してみた。

すると、ip addr の結果は次の通り。

ブラウザのプロキシ設定を外して ipv6-test.com へ接続すると..

 
ssh で別マシンへ接続してみると..



 と、このように、eth0 に割り振られた 3つ(linklocal も含めると 4つ)の IPv6 アドレスのうち、ランダムに生成された tempaddr を使用して接続していることが確認された。

付記

さらに、MAC アドレスをランダムに生成するという方法もあり、windows10 で対応されたようで一部で話題になっているが、linux でも systemd-networkd を使用すると可能なようだ。

cf. man(5) systemd.link の [LINK] SECTION OPTION 参照。

[LINK] SECTION OPTIONS
       The "[Link]" section accepts the following keys:

       Description=
           A description of the device.

       Alias=
           The "ifalias" is set to this value.

       MACAddressPolicy=
           The policy by which the MAC address
           should be set.
           The available policies are:

           "persistent"
               If the hardware has a persistent MAC
               address, as most hardware should, and
               if it is used by the kernel, nothing
               is done.
               Otherwise, a new MAC address is
               generated which is guaranteed to be
               the same on every boot for the given
               machine and the given device, but
               which is otherwise random.

           "random"
               If the kernel is using a random MAC
               address, nothing is done.
               Otherwise, a new address is randomly
               generated each time the device appears,
               typically at boot.


この "random" の部分を見てみると、つぎの意味だと思われる。

"random"
  カーネルがランダムMACアドレスを使用する場合はなにもしない。そうでなければ一般的にはブート時に新しいアドレスがランダムに生成される。

ちなみに、kernel が random MAC を使うようにする設定方法についてはまだ調べていない..